電子決済やモバイルオーダー、アプリなどの通信環境の課題
コロナ禍を経て、ユーザーが足を運ぶ「リアルイベント志向」への回帰が進んでいます。そんな中、もともとは「非接触で使える」という文脈ではじまった「電子決済」や「モバイルオーダー」などのデジタルサービスは定着し、すっかり当たり前となりました。
しかし一方で、大勢が集うイベント会場などではモバイル通信回線の輻輳の問題が顕在化しています。
横浜赤レンガ倉庫は年に13本ものイベントを主催し、毎回多くのテナントが軒を連ねます。一日あたり数万人にのぼる来場者を迎えつつ、安定したイベント運営を行う――そのために不可欠なものとして「通信インフラの整備」を推進しました。NTTBPのイベントWi-Fi構築サービス「一夜城Wi-Fi」を柔軟な方法で活用し、イベント時の通信課題の解消を図っています。2022年11月、12月に開催された「クリスマスマーケット in 横浜赤レンガ倉庫」よりこのサービスを検証のうえ本格導入。主催イベントの通信環境として活用いただいています。
横浜赤レンガ倉庫
横浜赤レンガ倉庫は、明治末期から大正初期に、保税倉庫として建築されたレンガ造りの歴史ある建造物です。
一号館には当時としては最新鋭の設備が整えられ、国の模範となる倉庫でした。現在では文化・商業施設として生まれ変わり、年間を通してさまざまなイベントを開催しています。横浜港を臨む絶好のロケーションで周囲は散策も楽しめる公園が広がっており、市民や観光客の憩いの場となっています。
2021年に二号館創建110周年を迎えた長い歴史を感じさせながら、今の時代に相応しい新しい形も提供してくれる――年間およそ810万人が来場する横浜市のランドマーク的存在です。
株式会社横浜赤レンガ イベント事業部
アシスタントマネージャー 佐野秀斗さん
景観に配慮しながら使える、自由に設置可能な臨時Wi-Fi
美しい港の風景や歴史ある建造物が立ち並ぶ赤レンガ倉庫周辺のエリアでは、景観の維持に関する細やかな条例があります。そのため、年間13本ものイベントを開催しながらも常設のWi-Fiスポットを設置することが困難でした。
横浜赤レンガ倉庫ではイベントのための暫定的な設備として、Wi-Fiアクセスポイントをイベントごとに設置・撤去しています。また利用しているアクセスポイントも赤レンガ倉庫の美しい景観に馴染むよう、独自の塗装を施したボックスに収納されています。
中継無線レンタルで実現した柔軟なレイアウトへの対応
イベントのたびに設置・撤去を繰り返しながら運用していますが、これを容易にしたのが「中継無線タイプ」のアクセスポイントです。
光回線と接続した「親機」と中継用の複数の「子機」を用い、無線でネットワーク環境を構築できます。「親機」以外はLANケーブルが不要なため、配線工事を大幅に削減することができ、外観もスッキリ設置することができます。
赤レンガ倉庫で開催されるイベントは、イベントごとに開催されるスペースの広さやレイアウトが異なります。「子機」のLAN配線が不要なことで、比較的自由な位置に配置することができるので、非常にコンパクトな工事で、多様なレイアウトに対応することができるのです。
また、子機は有線LANのルーターとしても活躍します。LANケーブルをつないでテナントの決済端末と接続するといった運用も可能です。屋根の有無や店舗のエリアなど、企画ごとに変化の多い赤レンガ倉庫のイベントに非常に適しています。
WI-Fiコンサルティングとセットだから、"いつもの業者"で設置可能
シンプルな設置で工事を一本化
通常、イベント運営の通信設備構築と会場設営は別々の業者に依頼することが一般的です。また、アクセスポイントの設置や電波設計には専門知識を要します。そのため、Wi-Fi設置とイベント設営は異なる業者が工事を行うことも多く、それぞれの作業時間の調整なども必要です。
しかし、この中継無線タイプのアクセスポイントはボックスを指定の位置に設置して電源を入れるだけで設置でき、工事が非常にシンプルです。特別な知識も不要なため、横浜赤レンガ倉庫の主催イベントでは、イベントの設営業者で取り付けを行うことが可能となりました。
NTTBPとの契約には設置・撤去工事を含めず、機器のレンタルだけにとどめ、工事を一本化することで費用を削減しています。また、景観配慮のために外付けしたボックスによって、アンテナ破損するリスクが減るといった思わぬ効果もありました。
会場装飾と一体化したアクセスポイント設置
専門知識が必要な領域はコンサルティングで対応
ただし、毎回レイアウトが異なるからこそ、障害物の影響や干渉を考慮した設置位置の検討や、電波の向き・出力などの調整が必要です。また、来場者数を考慮したネットワーク設計も必要で、これらの調整には専門的な知識を要します。
そこで、機器の無線技術者によるWi-Fiコンサルティングをあわせてご提供しています。設営時に齟齬のないよう、イベントの設営工事の会議にはNTTBPも参加し、早い段階でアクセスポイントを設置場所についての議論に加わっています。さらに、イベント開催時に現場で電波環境を測定するなどして、高品質な電波環境を保っています。
スムーズなイベント運営やマーケティングの目的をもったフリーWi-Fi活用
横浜赤レンガ倉庫のWi-FiにはフリーWi-Fiを提供できる、認証基盤を備えています。いつでも、だれでも利用できるフリーWi-Fiが理想的なのはもちろんですが、一日数万人規模が訪れる赤レンガ倉庫では、同時利用は現実的でないこともあります。そのため、赤レンガ倉庫ではイベント規模や内容によって、優先度をつけて通信環境を提供しています。
イベント運営に必須の通信を最優先で
まず優先となるのは、テナントの決済などに関する通信環境です。イベントによっては、利用者へのWi-Fiの提供をせず、まずはテナント運営に必要な通信環境を出店者向けのみ提供しています。
決済端末イメージ
目的をもったフリーWi-Fi提供
また、フリーWi-Fiを提供する場合も、メリハリをつけた設計を行っています。赤レンガ倉庫では、公式アプリの利用を促進しており、お得にイベントを楽しめるクーポンの配布や、スタンプラリーなどのコンテンツを利用しています。入場前の一部分のみをフリーWi-Fiのエリアとすることで、アプリダウンロードの目的にのみ活用しました。
また別のイベントでは、テナントの行列を回避するため、モバイルオーダー用のフリーWi-Fiとして利用するなど、用途を明確にした運用を行っています。
目的によって柔軟に運用を変えることのできる、弾力性のある環境や体制の構築が今後フリーWi-Fiのスタンダードなあり方となっていくでしょう。
横浜赤レンガ倉庫イベント公式アプリ。
イベント情報のほか、スタンプラリーなどのコンテンツも。
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