課題に直面する掘削現場のDXを最大化
ローカル5Gの実用性とWi-Fi併用の効果を検証
- 建設業における働き方改革への対応が喫緊の課題の中、現場作業管理や作業員の安全管理などで建設現場DXが叫ばれています。
- そのためには、安定した大容量の通信環境を建設現場に張り巡らす必要があります。しかし、建築や土木といってもさまざまで、現場によっては諦めざるを得ないケースもあるのでないでしょうか。
- そういった中、解決策として大いに注目されているのが、ローカル5Gです。
- 今回、安藤ハザマ様の大規模掘削現場において、Wi-Fiを併用したローカル5G環境を構築し、DX化の検証を行いました。BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)や施工管理アプリケーション、4Kカメラの利用を想定した、高度なネットワーク環境を要する設備を試験構築。東日本電信電話株式会社 東京事業部、株式会社 安藤・間、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社の3社共同で、ハイエンドな新時代の建築現場での通信網を作り上げました。
- 建設現場におけるローカル5G等を活用した広域高速無線環境実現に向けた共同実証実験の結果 : ニュースリリース : NTTBP|NTTブロードバンドプラットフォーム
掘削工事現場における無線ネットワークの課題
掘削現場で無線ネットワークを構築する場合、従来より、次のような課題がありました。
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携帯キャリアの電波が
安定して入らない場所もある工事現場の中には、携帯キャリアの4Gや5Gが圏外の場所や、掘削面では電波が届きにくいという場所もあり、DXのための通信インフラが確保できないケースが多々あります。このような場所では、ローカル5GやWi-Fiなどの自営無線通信の導入が有効な手段です。
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見通しのききにくい環境で
設計難度が上がってしまう掘削工事の現場では「広さ」に加えて「深さ」の考慮も必要です。さらに、構台などの遮蔽物が設置されたり、工事の進捗に応じた盛替えも発生します。配線が困難なことはもちろん、無線でのネットワーク構築にも、よりフレキシブルなエリア設計が求められます。
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通信品質とカバーエリアの
両立が難しい一般的に無線通信は届く範囲を広くするほど通信量の確保が難しくなります。最新のDXに対応可能なエリアカバーと通信品質の両立には、高度な設備と技術を要します。
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自然環境への対応など
屋外ならではの対応や耐久性が求められる屋外では風雨や気温、粉塵などの対応をはじめ、さまざまな外的環境への対応が必要です。機器の防護など、長期間の安定稼働と安全性のための考慮が不可欠です。
ローカル5Gを軸とした環境を
実際の掘削工事現場で検証
今回は、安藤ハザマ様が施工中の大規模掘削工事現場を実証フィールドとして、ローカル5GおよびWi-Fi環境を構築しました。
① ローカル5Gアンテナ設置
ローカル5Gは、建設現場での通信環境課題を解決する、さまざまな特徴を備えています。
- ・屋外用アンテナで数百メートルの距離をカバー可能
- ・電波干渉が無い安定した無線通信
- ・大容量通信が可能
このための基地局サーバを「建設現場事務所に必ずしも設置するスペースが無い」「建設現場間で移動させたい」というニーズに応えるために製作した「屋外設置型・エアコン付きの収容BOX」に収納する形で設置しました。
② Wi-Fiとの併用
このような大規模な掘削現場で、大容量の通信環境を構築するだけでは、掘削面や構台の下などローカル5G電波の届きにくい場所もでてきます。そのような場合には、Wi-Fiを使って補完することが有効です。
また、ローカル5Gに対応していない端末であったとしても広く普及しているWi-Fiを構築することで、利用機会や汎用性の向上が期待できます。
【検証結果】
エリアカバー、スループットともに
有用性が示され期待できる結果に
今回の実証を通してローカル5Gは建設現場において有効に使えることを確認しました。
一方、ローカル5Gをはじめとするワイヤレスネットワークにはそれぞれ特徴があり、建設現場の規模、お客さまの目的、予算感等に合わせて適切なものを選択することが必要になります。
NTTBPではお客さまの利用シーンやご要望を伺いながら、ニーズにあったワイヤレスネットワークをご提供いたします。
結果1約200m×100m 深さ約20mを1つのローカル5G基地局でカバー
広さ200m×100m、かつ深さ20mの広域掘削工事現場を1つの基地局でカバーしました。さらに200m離れた地点で数百Mbpsの安定したスループットを維持できました。広大な建設現場では、有線で敷地内をエリア化することには限界があり、Wi-Fiだけではパワーが足りません。無線局免許により電波の高出力が可能なローカル5Gのパワーが確認できました。
結果2
掘削面でもWi-Fiとの併用により数百Mbpsのスループット
遮蔽物が多く、電波強度も高いとはいえない掘削面においては、Wi-Fiとの併用で数百Mbpsのスループットを確認しました。 現場環境の「高さ」や「深さ」は実にさまざまで、見通しの悪い深い場所にも電波を届ける必要があります。今回の検証によって、そのような遮蔽地形であっても問題なく通信を維持できるとわかりました。また、大型トラックや重機など、移動する遮蔽物の影響を受けず通信できることも確認できました。
結果3
アプリケーションと4Kカメラの動作に問題のないことを確認
今回構築した全エリアにおいて、施工管理アプリケーションと4Kカメラが大きな使用感の差異なく利用できることを確認しました。最新のDXでは4Kカメラをはじめ、大容量通信を前提としているシステムも多くみられます。ローカル5Gならこのような通信量にも充分に耐え、安定して稼働できることがわかりました。
結果4
4か月間の安定運用を確認
今回構築した無線ネットワークは2022年12月から2023年3月までの間、風雨や粉塵にさらされる環境下においても安定的に稼働し、建設現場環境においても長期的な利用が可能と確認できました。
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