当コラムでも何度か扱った「技適マーク」、みなさんはもうご存じですよね?
おさらいをすると、こういう形のマークです。
「技適マーク」は「無線局」と呼ばれる無線通信を行う機器が、総務省の検査をクリアし基準を満たしていることを証明するマークでしたね。「無線局」を使うためには必ず「免許」が必要ですが、「電波法に則っていることの証」である技適マークがついている機械であれば、私たち利用者は免許申請なしで使うことができます。逆に言うと技適マークのない無線を使ってはいけないのです。
関連サイト:総務省 電波利用ホームページ|電波監視|電波の利用ルールの豆知識
https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/qa/chishiki.htm
昨今では、さまざまな機器に無線技術が使われるようになりました。周りを見渡してみると、技適マークって思いもよらないものにも付いているんです!
そこで今回は、一般的な「無線局」であるWi-Fiルーターやスマートフォン「ではない」意外なものに付いている技適マークを探し出し、「意外さ」をランキング形式でご紹介したいと思います。もちろん電波のスペシャリスト、内神田博士の解説付き!
もしかしたら皆さんにとって身近なアレやコレにも付いているかも......? ちょっとした調査で夏休みの自由研究にもなるかもしれません! それでは、早速見てみましょう。
ちなみに技適マークについて詳しく知りたい方は当コラムのこの記事がおすすめです。
関連リンク:技適マークって何? スマホやパソコンにある郵便っぽいマークの正体を聞いてみた
https://www.ntt-bp.net/column/blog/2023/02/post-84.html
なんでこれに付いてるの? 意外なものに付く技適マークランキングTOP3
「無線局という名前からして、トランシーバーみたいなものに付いてるのかな......」私は最初そんなイメージがありました。ところが、探してみると、これが意外とそうでもありません。普段「IT機器」とは呼ばないような品々にも、結構技適マークが付いているんです。
次に紹介するモノも、通話機能のない無線局です。ヒントは......中身だけぐるぐるまわるもの。さあ、予想はできましたか?
それでは最初の発表です。第三位!
第三位 洗濯機
編集部が独断で選ぶ「意外にも技適マーク付きの製品」第三位は洗濯機でした。一体なぜ洗濯機に技適マークが必要なのでしょう? 内神田博士~!
実は近年の洗濯機にはWi-Fiによるデータの送受信を行うタイプもある。洗濯の予約や完了をスマートフォンに通知したり、洗剤タンクの残量を知らせてくれる便利な機能は、無線通信のおかげなんじゃ。
「無線局」と聞いてまずトランシーバーやスマホなど「手に持てるサイズ」を想像していた私には驚きの事実でした。無線局の活躍で、大物家電も「遠くから確認できる」時代が来ているんですね。
それでは第二位の発表......の前に、今回どうしても3つに絞れなかったので、掟破りの第三位パート2を発表させていただきます。TOP4にすれば良かったじゃんという声が聞こえてきそうですが、三位から発表したかったんです......。
では行きます、第三位パート2!
ヒントはカウントアップする生活した証。さあ、予想できましたか?
第三位パート2 ガスメーター/電気メーター
写真はスマートメーターと連携したHEMSモニター
これにはびっくり、家の外についているガスや電気のメーターにまで技適マークが付いているんです。博士、このメーターになぜ技適マークが付いているんでしょう?
ガスや電気の検針は真夏でも真冬でも、検針員が1件1件目視でメーターを確認するのが一般的で、とても重労働じゃった。近年、スマートメーターと呼ばれる機器の登場でその問題が解決しつつある。スマートメーターはLPWA(Low Power Wide Area)という消費電力が小さく遠くまで届く通信技術を使って、家の中に置くたくさんのセンサーをつなげたり、ガス会社などに送信しているんじゃ。これによって検針の負担が大いに軽減されるぞ。身近なところでも、電波が大活躍しとるんじゃな。
これは盲点でした。知らない間にこんな恩恵を受けていたなんて......。
それでは今度こそ第二位の発表いってみましょう!
第二位は!
第二位 電動歯ブラシ
なんと電動歯ブラシにも技適マークがついていました。こんな小さな歯ブラシにどうして技適マークが必要なんでしょう? 教えて内神田博士!
この歯ブラシは、歯磨きをした時間や回数、強さなどをスマートフォンに送り、アプリで記録できるという代物じゃな。先ほどの洗濯機にはWi-Fiがついていたが、こちらにはBluetoothによる通信機能が備えられておるぞ。そのため歯ブラシであっても「無線局」になるんじゃな。
今時の高性能な電動歯ブラシは技適マークまで取得しているんですねえ。
それではいよいよ一位の発表です。ヒントは暗闇で大量に振られる応援の気持ち......わかりましたか?
堂々の第一位は!
第一位 ペンライト
このような腕に巻くタイプのものにも。
「これに?」と思わず私も固まったペンライトが「意外にも技適マーク付きの製品」第一位に輝きました! ペンライトになぜ技適マークが必要なのでしょうか?
ライブやコンサートで利用されるペンライトにはBluetoothなどの無線機能が内蔵されているものもあるぞ。スマートフォンアプリなどと連動させて色を制御し、会場全体の演出を盛り上げるのに使われておる。コントローラーが色変化の指令を出すタイプから、個々が持つスマホアプリを介して色や振動を制御するシステムもあり、この小ささでハイテクな「無線局」なんじゃよ。
いまのライブってそんな盛り上げ方もできるんですねえ。ペンライトと無線を組み合わせたら、どんどん面白いことができそうですね。
このような「無線局」のペンライトを使って、ライブ会場だけでなくオンラインコンサートを見ている世界中の人の手元に演出を加えるという試みもあったんじゃ。「道具」と「無線」の意外な組み合わせは、これからも発見され、世界を盛り上げてくれるはずじゃよ。
ランキング入りを逃すも身近で見つけた無線局たち
トップ3を発表しましたが、技適マークのついた製品は、身近なところにまだまだありました。1つ1つはご紹介できませんが、まとめてご覧ください。
- 耳かき
- 扇風機
- 掃除機
- 空気清浄機
- 防犯カメラ
- スマートタグ
- マイク
などなど......
実にバラエティ豊かなラインナップですね! Wi-FiやBluetoothのついたスマート家電など、アプリと連動して記録できる機器が増えているのを感じます。外出先から操作できる家電も今や当たり前になりつつありますね。電子タバコなどは、アプリ制御で小さなお子さまが誤って動作させないように無線通信が使われていました。数は多くありませんが、コードレス電話機など、Wi-FiやBluetooth以外の周波数帯を使った無線機器もありました。
技適マークはハードウェアではなく、起動した端末のモニター上で表記することも認められておる。スマホなど本体に記載がないものは、設定のアプリケーションなどから端末情報を参照してみると見つかるぞ。
逆に「意外にも技適マークが付いてなかったもの」はこれだ!
ランキングとは逆に、技適マークが付いてそうな雰囲気はあるのに付いていなかったものをご紹介します。それは......
電子レンジ
2.4GHz帯というWi-Fiと同じ周波数帯を使っていながら、我が家の電子レンジには技適マークがついていませんでした。これは意外でした。博士、なぜなんでしょう?
電子レンジは、電波は使うが通信をしないので、無線局ではないんじゃ。その代わり工業製品としてJISマークやPSEマークが付いているから、探してみるのも面白いかもしれんぞ。
テレビやエアコンのリモコン
明らかにワイヤレスで機器の操作をしているのに、ほとんどのリモコンには、技適マークがついていませんでした。なぜリモコンには技適マークがついていないのでしょうか?
多くのリモコンで使っているのは「赤外線」に分類されるもので、「光」のオンオフによって機器を操作する技術なんじゃ。これは電波法上だと「無線」ではないので技適マークは要らないんじゃよ。ただ、2.4GHz帯を使っているリモコンもあるので一概に「ついてない」とは言い切れない点には注意じゃな。
ついているタイプも多くありました
ラジオ
これも一見すると不思議ですね。無線機器の代表格のように感じますが、ラジオには基本的に技適マークがついていないんです。一体どうしてなんでしょう?
電波法では「専ら受信のみを行う装置」を無線局として扱わないことになっておる。つまり受信専用のラジオに技適マークは不要なんじゃ。同じようにWi-FiやBluetoothの機能のないテレビにも技適マークはついていないぞ。
交通系ICカード
近づけるだけで「ピッ」となる、Suicaなどの交通系ICカードにも技適マークが記載されていません。博士、これって無線通信とは違うのでしょうか?
交通系ICカードは確かに無線通信をしておるぞ。ただし、使っている電波が非常に弱く、電波法上では「発射する電波が著しく微弱な無線局」に区分されておる。このような無線局の場合、例外的に免許が不要となるんじゃ。
ここでご紹介した「電子レンジ」「リモコン」「ラジオ」などの機器ですが、実は技適マークがついているものも少なくありません。他のスマート家電と同じように、Wi-FiやBluetoothを使って高性能化しているものも多くあるので、みなさんのご自宅の機器にはついているかもしれませんね。
技適マークを見つけるのは想像以上に簡単だった
意外なものを見つけよう、と探し始めた技適マーク。さまざまな製品をひっくり返しながら感じたのは「結構いろんなものに付いてるな」ということでした。
ランキングの歯ブラシやペンライトのように、最新の製品にはアプリなどとの連動機能が搭載されているものが多くあり、結果技適マークも増えている印象です。また、スマートメーターのようにWi-FiやBluetooth以外の周波数帯を活用した技術も進んでいます。世の中の「無線局」の量はますます増えていくのではないでしょうか。
もしかしたら、皆さんの身の回りにも意外な技適マーク付き製品が潜んでいるかもしれません。夏休みの自由研究に、もってこいです。ぜひ探してみてくださいね! 自由研究のネタをお探しの方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連リンク:未着手でもまだ間に合う! NTTBP式Wi-Fiをテーマにした夏休み自由研究のススメ
https://www.ntt-bp.net/column/blog/2023/08/post-133.html