訪日旅行者が増えてます! やっぱりフリーWi-Fiってあったほうがいい?
コロナ前以上? 再び盛り上がるインバウンド
街で外国からの旅行者を目にする機会もとても増えましたね。独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)の発表によると、2023年7月の訪日外国人数は232万人にものぼるそうです。これはコロナ前の2019年に迫る数値です。すでにコロナ前を大きく上回っている国も少なくありません。アメリカやカナダ、フィリピンなどから来日する人は、2019年の同月比で25%以上も多くなっています。
参考:JNTO - プレスリリース | 訪日外客数(2023年7月推計値)https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20230816_monthly.pdf
頭をよぎるのは、コロナ禍により観光客とともに減少したフリーWi-Fiのことです。さまざまなことがコロナ前に戻り、時には上回る様子さえも見かける昨今。フリーWi-Fiも、以前の水準に戻っているのでしょうか?
訪日客の不満の声にあがる「フリーWi-Fiの少なさ」
訪日外国人向け旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP(好運日本行)」が2023年5月に実施した調査によると、外国人旅行者が訪日中に困ったこと第1位は「Wi-Fi環境」とあります。
外国人旅行者が訪日中に最も不便に感じることの第1位は「Wi-Fi環境(31.5%)」。次いで2位は「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない(20.2%)」、3位には、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(17.5%)」と続き、言語の違いによる不便さが明らかになりました。
引用元:訪日外国人が「日本で不便に思うこと」のランキング。「地球の歩き方」が展開する訪日旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」が発表。|株式会社 学研ホールディングスのプレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005092.000002535.html
2019年までは、東京オリンピックが開催される予定だった2020年に向けて、積極的にフリーWi-Fiの整備が行われていました。しかし新型コロナウィルスの流行により、海外からの渡航規制や、人流の減少により利用者は大きく減少。整備をすすめていた商業施設や交通機関、自治体も経済的な打撃を受けました。そのため、渡航規制解除を待たず、縮小または廃止されてしまったフリーWi-Fiも少なくありません。
つまり、日本でもっともフリーWi-Fiが整備され、盛り上がっていた時期に、訪日客が来られなかったことになります。これは残念なめぐり合わせでした。仮の話ですが、あの時たくさんの観光客を迎え入れられていれば、「フリーWi-Fiがなくて不便」と言う評価にはならなかったかもしれません。
フリーWi-Fi、設置したらちゃんと使われるの?
フリーWi-Fiの設置が盛んだった2019年以前と比べると、5Gが普及し、料金プランも変化しました。海外旅行時のローミングが基本使用料に含まれているプランも登場しています。eSIMの登場で、プリペイドSIMもより安価になりました。
旅行者にとって、便利な手段が着実に増えていると言えます。このような状況のなかでフリーWi-Fiが増えたとして、きちんと使われるのでしょうか?
下の図は、Wi-Fiの利用状況などについてのアンケート調査(2023年2月当社調べ)の結果です。
韓国、台湾、香港、アメリカ、イギリスに居住する 20 歳~69 歳の男女のうち2022年1月~現在までの間に海外への観光旅行をした経験がある1416人に、インターネットを通じてアンケートを行いました。
フリーWi-Fiが今もって利用割合が高く、多くの人にとって第一の手段だということが分かります。日本でフリーWi-Fiが撤去される一方、日本に来てフリーWi-Fiを探している旅行者もいるのは、少し不思議な感じがします。
また、このアンケート調査では次のような結果もでています。
これは有償Wi-Fiにいくらまで払えるか、という質問の結果です。何円までは許容できるかは、国ごとに個性があるようですね。中でもイギリスの方々は、あまり通信にお金をかけたくないと思っていることがわかります。
ポケットWi-Fiや短期型の国際ローミングを使った場合、1週間の滞在でも数千円がかかってしまう計算です。プリペイドのeSIMならそれより安価なものもありますが、特に長期滞在者にとって、安く済ませたいという意識は依然として高いことがわかります。まだまだ多くの旅行者にとって、フリーWi-Fiが「喜ばれる設備」なことは間違いありません。
デジタル・ディバイド対策としてのWi-Fi
誘客、そしてSNSでのシェア活性化――商業施設や観光地を有する自治体がフリーWi-Fiを整備する目的は、こういったものが多かったと思います。しかし、今はそれだけではありません。Wi-Fiに求められる役割というものが、改めて見直されてきているのです。
こちらをご覧ください。東京都に設置されている公衆電話の写真です。
ただの公衆電話の写真に見えますが、実はここ、フリーWi-Fiスポットでもあるのです。東京都などの多くの自治体では、訪日客の観光中の利便性だけでなく、災害の際の通信環境提供という意図をもって、街中にフリーWi-Fiを整備してきた経緯があります。
関連記事:なぜ東京は「フリーWi-Fi都市」になったのか ~東京の無料公衆無線LANと「2020」(前編)https://www.ntt-bp.net/column/blog/2021/09/post-63.html
これは、近年世界的に課題となっているITの情報格差「デジタル・ディバイド」の是正にも繋がります。家にネットがない人と同じように、観光に訪れている外国人もまた、デジタル・ディバイドによって情報から孤立してしまう恐れがあるのです。
公衆電話を見かけたら、Wi-Fiが使える――すべての地域でこのような事実と認識が広まれば、旅行客にとっても、災害時などに非常に大きな安心が得られるのではないでしょうか。
それでも維持が......コストの問題を解決するには?
そうは言っても、フリーWi-Fiの設置には、どうしても導入コストや維持費がかかります。ここがネックとなり、設置に踏み切れていない事業者や自治体も多くあるでしょう。飲食店や商業施設であれば、滞在時間の増加による売り上げ増やSNSでのシェアによる集客も期待できますが、すぐに効果がでるとは限りません。
そこで、少しでも負担量を減らすため、2つの方法を紹介します。
補助金の活用
観光庁の補助金の中には「インバウンド受け入れ環境整備」に対するものがあり、そこには「公衆無線LANの整備」も含まれると明記されています。2023/9/15現在、第3次募集中です。締切が近いのでご注意ください。
関連サイト:「インバウンド受入環境整備高度化事業」の三次公募を開始します | 2023年 | 公募情報 | 観光庁https://www.mlit.go.jp/kankocho/page08_000236.html
他にも、観光だけでなく、デジタルを活用した街づくりや防災の観点の補助金もあります。普段から、このような情報への"アンテナ"を高くしておくのがオススメです。
広告によるマネタイズ
海外では、フリーWi-Fiに広告を掲載して、設備の維持費用にあてるのはとても一般的です。国内でも、少しずつこういった取り組みが拡がってきています。
フリーWi-Fi利用前に、静止画や動画、アンケート広告を挿入できるサービスもあります。接続前に必ず目に入り、一般的なWEB広告のようにリンクからの離脱がありません。
関連サービス:Wi-Fiポスター : Wi-Fiサービス : NTTBP|NTTブロードバンドプラットフォームhttps://www.ntt-bp.net/product/service/wifi-poster.html
特に、来日中の外国人に対してアピールしたい広告主から注目を集めています。
フリーWi-Fiの出番はまだこれから
コロナ禍によって、社会全体が大きな影響を受けました。しかし、その痛みから回復し、さらにその先へ成長しようという時期にきています。あのとき諦めたものを諦め続ける必要はありません。新しく日本に来てくれる、たくさんの旅行者のために、また、コロナ禍やその他の災害のように、突然に日常が代わりうる時のために、誰もが平等に使え、繋がることのできるフリーWi-Fi環境の整備を、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。
NTTBPでは豊富な実績でお客さまにあったフリーWi-Fi環境の構築をお手伝いします、お気軽にご相談ください。