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高知競馬場の高精度測位サービスがすごい! 競馬をもっと盛り上げる無線技術に注目

突然ですが、高知競馬場のとある無線機器を見てください。

高知競馬場の場内設備

この無線機器、一般的なものと違って高い場所にありますよね。しかも観客席ではなく、レースコースに向けて設置されているのです。一体何者なのでしょうか?

わかった、Wi-Fiルーターですね! レース中に騎手がスマホを使うための!

いいえ、違います。実はこれ、高精度測位システム用の機器で、競馬をもっと盛り上げてくれるとっておきの設備の一部なのです。この設備があると、競馬の楽しみ方がどう変わるのでしょうか?

高精度測位システムが競馬の「情報」をパワーアップ!

近年、競馬が盛り上がっていますね。それぞれの馬の個性、その血に受け継がれてきた物語、騎手やオーナーとの絆......それら全てをぶつけた、白熱のレース。「知れば知るほど面白い」という言葉が、とてもしっくりと来ます。

高精度測位システムはそんな競馬にうってつけのサービスなんです。なんと、レース中の馬の位置を正確に計測し、通過順位や区間タイムをリアルタイムで表示してくれます。このような情報が「見える」ことで、競馬が、予想が、もっともっと面白くなると言うわけです。

高知競馬場のモニター表示の様子

従来から、競馬の情報誌などには「上がり3ハロン」のタイムが掲載されていました。順位が大きく動く最終600メートルのことですね。過去レースのこのタイムを参考に予想する人も多く重宝される情報ですが、従来は記者が人力で計算したタイムを使っていました。

高精度測位システムを活用することで、自動で50メートル毎のタイムを計測し、わかりやすいデータに加工した上で、競馬場のモニターにリアルタイム表示することが可能となりました。

終盤の脚だけでなく、今まで見えなかったスパートの予兆や、序盤、中盤戦の駆け引きの様子などもデータから見えてくるのです。予想も、レースも、一層深く楽しめる気がしませんか?

高精度測位システムをいち早く取り入れ、データを活用したさまざまなサービスを展開しているのが、高知競馬場です。位置情報の測位にはさまざまな方法がありますが、高知競馬場では「Quuppa」というシステムを利用しています。移動する小さなタグの位置を、ロケーターと呼ばれるアンテナのような機器と電波のやりとりをすることで、測定します。日本全国を見ても、競馬でこのサービスを提供しているのは2023年3月現在、高知競馬場のみ。今回は実際に現地を訪ねてお話を伺いながら、この新しい技術の実力と可能性を探ってみようと思います。

システム総括の担当者

高知県競馬組合 システム総括の松本太一さん

Q.なぜ、高精度測位システムを導入しようと考えたのですか?

――松本さん:実は高知競馬場は、かつては厳しい経営状態だったのです。限られた予算の中で設備改修を進めていましたが、特に「お客さまへの情報提供」という部分がまだまだだと感じていました。そこを何とかできないかと、順位やタイムを表示するサービスを考えたわけです。

――松本さん:最初は赤外線センサーの利用を検討したのですが、海風もあり、雨も多い高知では運用が困難とわかったんです。そんな中、場内のWi-Fiを構築していただいた縁でNTTBPさんに「Quuppaを使った測位サービス」をご紹介頂きました。競馬場での前例はないということだったんですが、ここの環境に合いそうだな、と。

海風に強い高知競馬場の場内設備

海風による劣化を防ぐため、機器には特別な金具が使われている

――松本さん:最初お話をいただいたのが2020年頃だったと思います。そこから色々と検証してもらって、2年ほどで実用に漕ぎ着けることができました。

場内のWi-Fi「KOCHI_KEIBA_Wi-Fi」が電波も縁も繋げたんですね!

Q.高精度測位システムがどう利用されているか、簡単に教えてください。

――松本さん:高知けいばはナイター開催ですので、コースを囲むように照明柱が立っています。ここにロケーターを取り付けてもらいました。そうやって取得したデータを加工して、更に映像データと合成して実況中継に映しています。私たちが「こうしたい」ということをNTTBPさんに実現してもらったという感じです。

高精度測位サービスのしくみ

――松本さん:このように、実況中継にハロンごとの順位と、区間タイムをレース映像上にリアルタイム表示しています。ちなみに、ハロンごとの順位と区間タイムのリアルタイム表示は高知けいばの公式YouTubeでのライブ配信でも見ることができます。他にも、Wi-Fiポータル画面では、その日のレースタイムをハロンごとにすべて表示しています。

高知競馬場のモニターの様子

画面表示がちょっとゲームみたいでわくわくします......!

Q.導入はスムーズでしたか?

――松本さん:私たちは技術のことがわからず、NTTBPさんは競馬のことがわからない。そういった状態でしたので、とにかく擦り合わせを入念にした、という記憶があります。NTTBPさんも大変勉強していただいたようで、完成の頃にはだいぶ詳しくなっておられましたね(笑)

Q.使うのは難しいですか?

――松本さん:運用で面倒なことは全くありません。受信用のタグが小さく軽いので、騎手にとっても負担にならないんです。普段使いのプロテクターにあるポケットに入れたらあとは着るだけですから。騎手の安全を考えた結果、この位置に入れています。

測位サービスの受信タグ

試作と検討を重ねた結果、ベストの背中側に受信タグのポケットを設置。
直径4センチメートル。重さも100円玉二枚分ほどしかない。

――松本さん:うちには24人の騎手が在籍していますが、それぞれに固有の番号が紐づけられていて、いちいち再設定する必要もないんです。電子機器なので、もちろん電池は必要なんですが、かれこれ1年交換していませんね。そういう楽な部分はとても助かってます。

GPSと比べて、受信機が軽く消費電力も少ないのが魅力なんですって!

Q.お客さまの反応はどうですか?

――松本さん:「見るのが楽しくなった」というお声も聞かれ、ご好評をいただいていると思います。ネットでの書き込みも、競馬関係のライターさんからも好意的な意見をいただいていますよ。

Q.データは活用されている?

――松本さん:実は高知競馬場には橋口さんという名物アナウンサーがいまして、ストップウォッチで区間タイムを測りながら実況してくれるんですよ。なので、ここのお客さまに限って言えばおおまかな上がり3ハロンのタイムは慣れ親しんだものなんです。ところが昨年、橋口さんが体調を崩してしまい、こういった情報が伝えられなくなってしまいました。今後はこの高精度測位システムを利用して、他のアナウンサーでもデータを活用して区間タイムを実況できるような仕組みを作っていきたいとと思います。

時間を測りながら馬たちも見て実況して......橋口さん、機械顔負けのすごい技術です!

Q.今後、高精度測位システムで何をしたいですか?

――松本さん:まずはしっかりと安定稼働させることですね。今はまだ実験を兼ねた部分もあるので、システムを成熟させていきたいと思います。他、考えているのは、この高精度測位システムで取得した、全ての馬の、全てのデータを公開することです。取得している膨大な量の生のデータを、メディアの皆さんや予想をされる方々に自由に使ってもらって、分析に役立ててもらいたいですね。私たちの事業は馬券を発売することですから、こういったデータ提供を収益とすることは考えていません。目いっぱい情報提供を頑張りますので、あとの楽しみ方はそれぞれのお客さまが、自由に決めていただければ良いのかなと考えています。ぜひ、これからも競馬を楽しんでください。

高精度測位システムには可能性が詰まっていますね! これからも楽しみにしています!

高知けいばの本取り組みについては、こちらの記事でも詳しく紹介されていますので、あわせてご覧ください。

これまでもさまざまなユニークな企画で競馬ファンを楽しませてくれている高知けいばですが、今後もますます目が離せませんね。

高知けいば公式サイト
http://www.keiba.or.jp/

高知けいばYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCwGgMN7UlYobxOzIpknGo-A

NTTBPでは高知競馬場様の他にもさまざまなレースを位置情報測位で支えています。詳しくはお問い合わせください。

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