白状します。私はWi-Fiを繋ぐ時、いつも当てずっぽうで「パスワード」を入れていました。
だって、わからないじゃないですか。Wi-Fiを手動で繋ごうとすると、パソコンやスマートフォンにこんな画面が出ますよね。
「パスワード」とは一体なんのことなんでしょう?
Wi-Fiの「パスワード」ってどれのこと?
だいたい、この「パスワード」が指し示しているものは、ルーターの裏面などに記載されています。でもこれがモノによって呼び方が全然違うんですよ。「パスワード」と素直に書いてあることは稀で、ある時は「暗号化キー」、ある時は「セキュリティキー」、またある時は「WPA2-PSK(AES)」だとか「WEPキー」だとか......。
機械が苦手な私からすれば、ルーターの裏側は魔物です。「シリアルナンバー」やら「MACアドレス」やらの小難しく感じる文字列だけでなく、呼び名の不安定な「たぶんパスワードと思われる文字」まで書いてあるわけです。結局は「SSIDの近くに書いてあるから、たぶんこれだろう」と当てずっぽうでやることになります。
どうしてWi-Fiの「パスワード」には、こんなにもたくさんの呼び名があるのでしょう?
パスワードってどれのこと!?
呼び方が違う理由のひとつは「『認証』と『暗号化』の両側面があるから」
実は、Wi-Fiで「パスワード」を入力すると、私たちには見えないところで「2つのこと」が行われています。それは「認証」と「暗号化」です。
「認証」は簡単に言えば接続する前の本人確認のことですね。一方「暗号化」は通信が始まった後、その内容を本人にしかわからない形へと変えることです。
この2つの仕組みを行うための合言葉を、一言で表すちょうどいい言葉は、いまのところWi-Fi Allianceでも定められていません。そのため、合言葉......つまりパスワードの呼び名が、「認証」に寄った表現である「セキュリティキー」になったり、暗号化の方式を表す「PSK-AES」という表記になったりしていると思われます。
対策と言えるかはわかりませんが、この辺の言葉を見たらパスワードを意味している可能性が高いです。頭の片隅に入れておくと、便利かもしれません。
- PASS
- WPA2-PSK(AES)
- パスフレーズ
- セキュリティキー
- ネットワークキー
- 認証キー
- 暗号化キー
- KEY
- WEPキー(セキュリティが高くないのでこのWi-Fiの利用はおすすめしませんが...)
Wi-Fiのパスワードも破られる可能性はある。 でもルーターのほうが危ないかも
Wi-Fiのパスワードって、会社のパソコンやゲームのアカウントのように「変更してください」と案内されることってあまりないですよね?
使い始めてからずーっと変えていない、という方も多いと思います。これってセキュリティ上問題ないのでしょうか。
見ず知らずの相手のWi-Fiのパスワードを解析することは不可能ではありません。特に、古い認証方式であるWEPなどは、今なら数分で破れてしまうものですから、変更する・しない以前の話で、使用は控えたほうが無難です。ただ、それ以上に見落としがちで注意が必要なのは、ルーターの管理画面へのログイン情報かもしれません。買ったルーターをそのまま使っている方は思い返してみてください。IDやパスワードが、初期設定のままになっていませんか?
管理画面のIDやパスワードは初期設定ではメーカーごとに共通なことが多く、推測が容易です。もし悪意のある第三者がいた場合、Wi-Fiのパスワードが破られてもできることは限られますが、ルーター管理画面にログインされると犯罪の踏み台にされるなど、より深刻な事態になる場合があります。もし、初期パスワード等から変更していない方は、変えておくことをおすすめします。
他のパスワードに関するセキュリティ対策として「ゲストポート」という機能があげられます。例えば誰かが来たとき、普段使っているパスワード等を教えてあげなくても、一時的にインターネット接続を解放できる機能です。パスワードの漏洩が心配でしたら、こちらを利用するのも有効ですね。私の自宅でも こちらのサイトを参考に設定してみましたが、それほど手間ではありませんでしたよ。
関連リンク:【Wi-Fiルーター】SSIDは変更したほうがいい?来客に接続させる方法は?
https://tokusengai.com/_ct/17526762
パスワードに頭を悩ませるのは人類共通
パスワードは私たちのプライバシーを守る大切なものです。でも、どうしても煩わしいイメージが消せないのは、きっと私だけではないはず。
パスワード忘れました
メール送ったのでそこから手続きしてください
そのメール見るためのパスワードも忘れました
照会するのでポータルにログインしてください
そのパスワードも忘れました
あちこちに確認をとったり、メモしておいたはずのファイルを探したり、唸りながら記憶を絞り出したり......ああ! これまでパスワードに奪われた時間で何が出来ただろうか!
これまでパスワードにささげた時間で地球を何周もできるかも
ExpressVPN社の調査で、興味深い結果が出ていたのでちょっと見てみましょう。
ExpressVPNが最近行った調査では、多くの人がパスワードを忘れるたびに平均3分46秒をリセットに費やしていることが判明しました。
3分46秒......確かに、手早くやってもそれくらいかかるイメージはあります。これだけなら、まあそんなものかな、という数字ですが......。
米国の回答者の52%が少なくとも月に1回はパスワードをリセットしており、フランス(53%)と英国(50%)でも同様の結果が得られました。
残念ながら日本は調査に含まれていませんが、そう大きな違いはないはずです。少なくとも半分以上の人が月イチでパスワードについて困っているということですね。
米国の回答者のうち、21%が週に2回以上パスワードをリセットしており、14%が少なくとも1日に1回以上パスワードをリセットしていると回答しています。この数字は、1人当たり年間21時間という膨大な時間が費やされていることを意味します。
年間21時間! 急に迫力のある数字になりました。私の場合はもう20年ほどパスワード忘れの常連をやっていますから、420時間ほど無駄にしている可能性があります。
ちなみに単純に地球円周を旅客機で移動すると、44時間で一周できるらしいです。みなさんはパスワードで困った時間を使って、地球を何周できましたか?
調査対象者のうち、最も頻繁にパスワードをリセットしなければならないプラットフォームとして、仕事用のアカウントをあげたのは、わずか7%でした。これは、仕事用のアカウントにログインする頻度の高さが、パスワード忘れを防いでいるためと思われます。
仕事で使うような、毎日入力するパスワードは忘れにくいようですね。どうしても忘れる方は、わざと毎日パスワードを手入力してみるのはどうでしょうか?
引用元:【調査結果】パスワードの再設定にどれだけの時間を浪費している?
https://www.expressvpn.com/jp/blog/survey-how-much-time-do-you-waste-resetting-your-passwords/#people-spend-too-much-time
煩わしい、でもなくてはならないパスワード
指紋に瞳、さまざまな認証方法が生まれましたが、私たちの生活からパスワードはまだ切り離せそうにありません。
これからもきっと、私はパスワードで悩むでしょう。でも時々は思い出してみようと思います。パスワードは何も、私に意地悪をしようというのではなく、私を守るために存在しているということを。