Wi-Fiコラム Wi-Fiをもっと楽しくするWEBマガジン

リモートワークを支えるオフィスのネットワーク環境~Wi-Fiフル活用とゼロトラストがもたらす新世界~

Wi-Fiという字に寄り掛かりながら端末を操作する三人


突然ですが、あなたは今どこにいますか? オフィス? カフェ? それとも自宅でしょうか。
一昔前だったら「カフェ」と答えたら「今日はお休み?」なんて聞かれたかもしれません。しかし、今はたとえカフェや自宅にいたからといって、休暇中とは限りませんよね。

コロナ禍で、働き方の変化は加速しました。どんな場所にいても仕事が出来る、リモートワークの新時代。フリーアドレスに、ケーブルレスな通信環境。メタバース出社や、ゼロトラストという考え方......これらの急速な時代の変化に、私たちも、会社も、適応しなくてはいけません。実際、多くの会社が動き始めています。そしてその傍らには、現在に即したオフィス環境を、さまざまな技術で支えている人たちがいます。

オフィス内Wi-Fiネットワーク構築のスペシャリスト、NTTBPの長野さんもその一人です。今回は、長野さんに、今求められている社内環境の在り方について、お話を聞いてみました。

NTTBPの長野正嗣さんが窓辺で座っている人物写真
NTTBP 設備サービス部 長野正嗣さん
NTT東日本のオフィスの無線化などを担当。
現在は業務用Wi-Fi、オフィスWi-Fiなど幅広いミッションで活躍中。

Wi-Fi環境とオフィス~リモートワーク新時代に適した姿とは?

Q.世の中が少しずつコロナ以前の姿を取り戻しつつある今日このごろ。リモートワークへ舵を切った会社も、少しずつ出社比率を上げるような例が増えていると聞きます。これからNTTBPがめざすオフィス環境とは、どのようなものなのでしょうか?

――在宅ワークに対応できる環境が求められていると感じますね。従来は、出社を前提とした社外と社内に境界線を引くネットワークが主流でした。これからは、働く場所を選ばない「ゼロトラスト・セキュリティネットワーク」という考え方も浸透していくと思います。ただ、業務の100パーセントをリモートワーク化できる会社は限られてしまいますよね。業種にもよりますし、どんな会社にもオンプレ派の上司がいるものですし(笑)

Q.完全なリモートワーク環境はめざさない、ということでしょうか?

出社と在宅で同じように働けることが大事と考えています。その環境を前提にユーザビリティを考えた時、やっぱり自然と「無線のほうがいいよね」となりますね。有線にとらわれない、持ち運びやすい端末を採用できることで、出社率を下げることにも繋がります。座席を減らしてフリーアドレスに出来るとなれば、オフィスのフロア数も削減できるかもしれません。人員や機器の数とともに増え続ける有線ケーブルからも解放されます。Wi-Fiをエリア化できていればどこでも仕事が出来ます。レイアウト変更にも柔軟に対応できるという強みもあります。

Q.端末ひとつで色々気にせず仕事できたら、社員としては楽ですよね。「どこでも働ける職場」というニーズに、無線は合っている気がします。でも、簡単じゃないですよね。

――そうですね。幸いというか、私たちはこういったニーズの波が来る以前から、Wi-Fiを通じて電波の設計などに関するさまざまな知見を蓄積しています。大中小あらゆる規模の建築物や電波干渉しがちな混雑した会場など、どんなシーンでも課題を解決し、安定的な電波環境を提供してきました。その経験が今、活きていますね。

Q.電波のスペシャリストが作るオフィスの環境、興味があります。最近の構築事例などあったら教えてください。

――ちょうど、初台にあるNTT東日本の本社ビルで約30フロア分のWi-Fi構築をしたところです。半年ほどの工事期間のうち、2か月ほどは要件把握や、電波・設置位置調査に費やしましたね。構築後も都度電波状況やデータ量等あらゆるパラメータを監視して、ユーザーが使いにくいと感じる部分を見つけ次第、調整をかけて、と改善を重ねているところです。

様々な場所で人と端末が繋がるネットワークをイメージした画像


「オフィスの完全なWi-Fi化」で実現するユーザビリティの向上と課題

Q.全ての有線LANを無線にするという、大がかりな構築だったと聞いています。評判や反響はどうでしたか?

――評判は、かなり良かったと思います。今回、大規模な無線化にあたって「ゼロトラスト」の考え方のもと、脱オンプレミス、クラウド化も積極的に進めています。これによって、コスト面もそうですし、管理者側の負担も軽減したこと、セキュリティを引き続き確保できたことを評価いただいています。でも、一番のメリットは、ユーザビリティが向上したことですね。

Q.連鎖的に良いことが起こっている気がしますね。「実はこれもWi-Fi化を進めたおかげ」ということもありそうですね。

――あると思います。例えばパソコンも、有線ポートのないモデルを導入できるようになりました。スマートで軽量、持ち運ぶのもかなり楽になると思いますよ。

Q.では逆に、課題はどうでしょう?

――Wi-Fiのリソース管理は、難易度があがってしまう側面もあると思います。無線は密度や強度、端末と人の流れで刻一刻と環境を変えてしまうものですから、目に見えないながらも、調整が必要なことがあります。

Q.有線の方が良い、というケースもありますか?

――安定性という点で見ると、やはり有線に軍配があがってしまいますね。瞬断も許されない重要なやり取りには有線を使わざるを得ません。こういった点は導入の際しっかりヒアリングして、無線、有線のそれぞれのメリットを活かせれば良いかと思っています。とはいえ、実際に社員のみなさんが利用して初めてわかることもあるわけで、構築後もしっかり監視して柔軟に対応する必要がありますね。

メリットの多いWi-Fi化。ではそのハードルは?

Q.これまで聞いた感じだと「無線化やったほうがいいな」と感じました。でもたぶん全国に、興味があっても踏み切れない人たちがいると思うんです。構築の手間とか会社側の負担とか、これくらい覚悟すればできるよ、という目安みたいなものはありますか?

――そうですね。無線LANをメインに据えるには、設計に工夫が必要になるので、現環境の延長でやりくりする、という考えでは難しいと思います。例えば電波を、1フロア全体にきちんと、干渉なくエリアカバーさせたいとき、ただ等間隔にアクセスポイントを置くだけではかえってバランスが悪くなることもあります。人数や端末の密度、数、指向性、障害物や壁面の素材など、緻密な調整が必要になります。リモート会議の増加などにと伴って、トラフィックやセッション数も増えるかもしれません。まして完全に有線を使わないとなると、高密度のWi-Fi環境となるもことありますし、なおのこと調整は難しくなります。

Q.会社の情シス担当だけでやるのはおすすめできない?

――はい。調整を自動化するエンジンの実証実験なども進められていますが、それがすぐに皆さんの手元に届くわけでもないので......作業量も現場ごとに変わるので一概には言えないんですけど、ぜひプロに任せて欲しいですね。プロなら、適切なステップを踏むことが出来ますので。例えば、まずは周辺環境含めた、電波環境の調査をしっかりやる。情シス担当の人と協力して、有線無線含む社内の機器の洗い出しをする。その上で、会社の電波環境をクリーンにする......と、充分な準備が必要です。また、先ほどお話した通り、環境や利用用途等、情報は刻一刻と変わるため、それらを把握して調整することが必要になってきます。目に見えない世界ですから、調整不足に気付かず長年運用してしまうこともあり得るわけです。我々NTTBPは公衆Wi-Fiで培った経験や保守体制があるため、電波環境や通信量などを監視し、調整をすることでユーザーが使いにくいと感じる前に調整できるよう努力しています。

さらに次の未来を見据えて。今後のオフィスの通信環境はどうなる?

パソコン操作する人物を背景にチャート図が映し出された未来の仕事風景の画像


Q.完全に無線LANだけのオフィスになった場合の可能性、「こんなことも出来そうだ」ということがあれば教えてください。

――リモートや出社などの選択の幅が生まれた結果、オフィスのリソース管理が重要になってきていると思います。例えば座席に当人が座っているのかどうか、即時にわかるような仕組みはニーズがあると思うし、やっていきたいです。

Q.確かに、今誰が出社して誰がリモートかはわかりにくいです。フリーアドレスだと出社してるはずなのに、どこにいるか分からないってこともありますよね。これも、電波で解決できると?

――無線アクセスポイントで3点測位をして、どこに人と端末があるのかを可視化する、という方法もあるんです。そもそもビル内でのGPSはあまりあてになりませんし、さらにはビルの30Fなのか1Fなのか判断できないのですが、Wi-Fiならそれも判断できます。座った席を手動で登録する方法もありますが、それだと登録を忘れてしまう人もいるし、移動してしまうと追えませんしね。他にも、人の居ないフロアや会議室の電気を自動的に落とすなど、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)に関わる部分、こういったところもお手伝いしていけたらと思います。

Q.オフィスの無線環境、まだまだ便利になりそうですね!

――そうですね! 今後とも、NTTBPではリモートワークなど、時代に沿ったソリューションを追加していきたいと思っています。柔軟な対応が出来ることも強みです。導入したいけど何をしたらいいかわからない、という段階でもぜひご相談ください。今回お話させていただいた例に限らず、どこにでも無線化によって便利に出来る余地はあると思います。ぜひ皆さんにそれを知ってもらって、これまでの経験や蓄積を役立たせていけたらと思います。

NTTBPでは、オフィスの無線LAN化、臨時アクセスポイントの設置、キャリーバッグWi-Fiなど、さまざまなワイヤレスソリューションのお手伝いができます。お気軽にお問い合わせください。

コラムトップへ戻る

RELATED POSTS関連記事

PAGE TOP