とあるお城の一室で、絢爛なお召物の姫様が、足をバタバタとだだをこねています。一体どうしたのでしょう。

姫：いやじゃいやじゃ、わらわはこんなボロボロなお城からは出て行く！

爺：しかし、そう言われましても......

姫：ハッ......そうじゃ！　じいや、わらわが住む新しいお城を探して参れ！　条件は......そうじゃの、城下の者皆でつかえる、こうしゅうむせんらん、すなわちフリーWi-Fi完備で、天守閣が現存している城を頼む！

爺：お城でWi-Fi！？　またそのような無茶を......！

一度言い出したら聞かない姫様です。じいやはしぶしぶ、探してみることにしました。

Wi-Fi・現存天守閣完備の名城

爺：姫！　取り急ぎフリーWi-Fi付きで天守閣が現存している城をピックアップしましたぞ、ご覧くだされ。

1. 弘前城
2. 松本城
3. 丸岡城
4. 犬山城
5. 彦根城
6. 姫路城
7. 松江城
8. 備中松山城
9. 丸亀城
10. 伊予松山城
11. 宇和島城
12. 高知城

姫：ほぉぉ、意外とあるのう！　さっそく、片っ端から内見に行くのじゃ！

弘前城

爺：青森県弘前市下白銀町にある、江戸時代に建てられた名城ですじゃ。現在の青森県の、津軽地方を治めていた津軽氏が以前住んでおられた場所ですな。平野の中にある丘陵に建てられたいわゆる「平山城」で、中からも外からも景色は素晴らしいの一言ですぞ。

姫：へぇー。弘前城の、ひろさ気になるわね～。

松本城

爺：次はこちら、長野県松本市にある、松本城ですじゃ。平野に建てられた「平城」なのは、現存12天守ではここだけですぞ。洗練されて美しい黒壁は、毎年漆が塗り替えられているそうですな。

姫：なるほどね。松本城のてんまつ、もっと見たいわね。

丸岡城

爺：福井県坂井市の丸岡城はいかがですかな？　北陸地方で唯一、天守閣が現存しているお城ですじゃ。合戦の時、大蛇が現れて霧を吐き、この城を隠してしまったそうな。その伝説から「霞ヶ城」とも呼ばれておりますな。

姫：ふむ。理解が深まる、おかあさんにも教えてあげようっと。

犬山城

爺：愛知県にある犬山城も、天守が現存しているお城のひとつですじゃ。小牧・長久手の戦、関ヶ原の戦でも重要拠点となったこの城、なんと2004年まで城主のいた、個人が所有しているお城だったそうですぞ。

姫：犬山城でテリィヌやまほど食べたいわ。

彦根城

爺：国宝指定された天守を持つ彦根城。徳川四天王、井伊直政に始まり、多くの大老を輩出した井伊氏14代の居城ですじゃ。お城好きでなくとも知っている「ひこにゃん」は、天守前や博物館で会えるそうな。ひこにゃん公式サイトで登場時間がわかるので、時間を調べて行くのも良いかもしれませんのう。

姫：あるひ、コネで住ませてもらえないかしら。

姫路城

爺：兵庫県にある姫路城は、世界遺産にも登録されている言わずと知れた名城ですじゃ。白鷺城と呼ばれる由縁は所説あるものの、白漆喰の城壁の美しさにはまさに白鷺のようで心奪われますな。個人的には天守に住むと言われる妖怪、刑部姫にも興味がありますぞ。

姫：素敵。匂い松茸、城ひめじってかんじね！

松江城

爺：かつての松江藩の政庁、出雲地方の政治、経済の中心地にそびえる平城城、ご存じ松江城ですじゃ。松江市と出雲市にまたがる湖、宍道湖を一望できる天守は住み心地抜群でしょうな。城を囲む3.7㎞の堀川を船頭さんの粋な語りを聞きながら、小舟でゆったり巡るのも風情がありますぞ。

姫：この城を作り上げた、そのまつえー達が今も暮らしているのかしら。

備中松山城

爺：現存天守閣唯一の山城と言えば、岡山県高梁市の備中松山城ですな。戦に備えて作られた城らしいので、普段使いではなかったとも聞いております。しかしながら、標高430メートルの天守から眺める景色は比類なきものですぞ。

姫：空行くタカは、知らないのでしょうね。戦のあとしまつ、やまほどあったことなんて。

丸亀城

爺：こちらは香川県丸亀市にある石垣の名城、丸亀城ですじゃ。様々な石積みの技術が使われ、自然と調和した美しい姿は見ていてうっとりしますのう。石垣の高さ、天守の小ささ、井戸の深さ、の三つが、いずれも日本一だそうですぞ。姫様も見習って精進してくだされ。

姫：身が引きしまるが、めんどうごとはゴメンなのじゃ。

伊予松山城

爺：現存12天守の中でもっとも新しいのが、愛媛県松山市にある伊予松山城ですじゃ。江戸時代後期に再建されたもので、現存している建造物が21棟と、二条城に次いで多いそうですぞ。

姫：携帯たんまつ、やまほど充電していくといーよ！

宇和島城

爺：愛媛県宇和島市にある宇和島城も現存12天守のひとつですぞ。縄張には築城の名手、藤堂高虎の技術が活かされているそうですな。現在は埋め立てられておりますが、かつてはほとんどが海に面していて、三大海城のひとつと謳われていたそうですじゃ。

姫：買うわ！　しまごと！

高知城

爺：高知県の高知城は、本丸内の本丸御殿がすべて残っているという貴重なお城ですじゃ。「忍び返し」や「矢狭間塀」など、戦い、守り抜くための仕組みが随所に見られますぞ。攻め入るつもりで探索してみるのも一興かもしれませんな。

姫：行きたい！　行こう！　ちかくなくても！

じいやセレクション！　現存天守じゃないけどフリーWi-Fi付きの名城はこれだ

1. 清須城
2. 大阪城
3. 広島城
4. 熊本城

爺：姫のご要望とは違いますが、フリーWi-Fiが使える城は他にもたくさんありますのじゃ。有名どころをちょっとだけご紹介しましょう。

清州城

爺：次の世を占う一大ミーティングの名所、清州城ですじゃ。信長公記では「清州」、三河物語では「清須」と表記されていて、どちらも正しいそうですな。何度も城主を変え、何度も改修し今もそびえ建つ姿には、言い知れぬ頼もしさを感じますぞ。

姫：このお城スキよ、スキよ！

大阪城

爺：大阪を見守るように構える「太閤はんのお城」、大阪城を取り上げないわけには行きませんな。淀川とその支流からなる天然の堀の景色は美しく、大阪と一体化した、まさに象徴のようなお城ですじゃ。天守は「大阪城天守閣」という博物館になっておりますぞ。

姫：賑わう城下町......人のおおさ、かなりのモノね！

広島城

爺：安芸国に毛利輝元が建てた平城、広島城も忘れてはいけませんぞ。日本三大平城に数えられる歴史あるお城で、被爆による全壊後も復元を繰り返し今の姿になっております。太鼓櫓を見られる二の丸は、本丸から離れて小島のような場所にありますじゃ。

姫：毛利輝元はわらわのヒーロー！　しまった、ばらしちゃった！

熊本城

爺：熊本県に行ったら、熊本城を見るのは外せませんのう。武者返しの異名を持つ石垣は近くで見ると圧倒されますな。2037年度の完了を目指し、まだまだ復興作業が続くようですな。復興作業が終われば撤去されるという、特別見学通路からの景色は必見ですぞ。

姫：城攻めのあくまも、「とにかく攻めにくい」と言っているのじゃ！

ご当地デザインに大注目。お城のエリアサインを探してみよう

爺：Wi-Fiのあるお城を訪ねるときは、ぜひ付近のエリアサインも探してみてくだされ。普段の電波マークだけではなく、お城のイラストが描かれているものもありますぞ。ここでちょっとだけご紹介ですじゃ。

松本城

名古屋城

清州城

引用元：https://www.ntt-bp.net/jw-auto/ja/list/list.html

最終決定！　姫が決めた住みたい城とは？

爺：どうですかな......姫のお気に入りはありましたかな？

姫：うむ。どれも素晴らしい城じゃったの。選ぶというほうが無理じゃ。むしろ、このような名城に住もうなどと恐れ多いと言うもの。誰じゃ言い出したのは、実にけしからん。

爺：え？

姫：やっぱり名城は観光に限る！　じいや、次はわらわを、100名城全部に片っ端から連れて行くのじゃ！　すぐに準備せよ！

爺：とほほ......いくつになられても、姫様のわがままは状態良く現存されておるのう......。