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無観客開催の影響とは......今後のフリーWi-Fiを考える  ~東京の無料公衆無線LANと「2020」(後編)

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東京のフリーWi-Fiスポットは、ここ数年で大幅に増加しました。後編となる今回は、今年の夏を彩った「2020」における東京のWi-Fi整備について。そして「これからのフリーWi-Fi」を伺っていきます。

関連リンク:なぜ東京は「フリーWi-Fi都市」になったのか ~東京の無料公衆無線LANと「2020」(前編)
https://www.ntt-bp.net/column/blog/2021/09/post-63.html

「2020」とフリーWi-Fi

Q.「2020」に向けて特に準備していたことなどはありますか?

――Uさん:フリーWi-Fiの認証画面を新しくしました。これによって今までより、もっと簡単にストレスなくフリーWi-Fiへつなげることができるようになりました。 また、2018年には、全Wi-Fiスポットの通信回線や設備を強化しました。

Q.ユーザー目線で言うと通信が速くなった、ということですよね。2018年時点で通信速度に問題が出ていたのでしょうか? それとも問題はなかったけれど、「2020」向けた「おもてなし」のために設備を強化されたということでしょうか?

――Uさん:その時点で、通信速度に問題があったわけではありません。やっぱりオリパラ招致という事項は大きなワードで、大会本番で通信のひっ迫が起きてからでは遅いので、増強することになりました。相談を重ねた期間なども含め、1年半くらいかけてやっていきましたね。

Q.会場によってはWi-Fiが無いところや、建物自体が仮設のところもあったと思いますが、そういった箇所のフリーWi-Fiは、いつ頃から構築を始めたのでしょうか。

――Uさん:競技会場などについては、2018年くらいからですかね。

――Sさん:観客だけでなく、大会関係者の方たちがご利用になるWi-Fiなどにも対応しましたね。

Q.残念ながら無観客となってしまいましたが、影響などはありましたか?

――Uさん:そうですね。率直にいうとかなり。この大会に向けて、より利用しやすく整備されたWi-Fiを、たくさんの人に使っていただく機会を失った、ということが大きかったですね。ですが、安全な大会運営が最優先でしたから。

――Sさん:訪日外国人旅行者への「おもてなし」という意味でも心残りがありますね。この大会に向けてたくさんのアクセスポイントを設置しましたし、自動でフリーWi-Fiにつながるアプリも新たに開発していたんです。「日本もWi-Fiもいいね」ということを、SNSなどを通じて、世界に広めるいいチャンスだったのに、と思うと設置した側としても残念に思います。ですが、選手や観客、関係者など、皆さんの命の方が大切ですからね。Wi-Fiの健康よりも、皆さんの健康が最優先ってことですよ。

これからの東京のWi-Fiスポットはどうなっていく?

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Q.今後、東京のフリーWi-Fiってどうなっていくと思いますか? 現場に一番近い皆さんに率直なご意見を伺ってみたいです。

――Uさん:うーん......この3~4年のようなフリーWi-Fiスポットの激増のフェーズはもう無いかもしれませんが、今後も緩やかな右肩上がりをたどると思っています。訪日観光客の方に楽しんでいただけるような施設を新たに建設する際には、やはりフリーWi-Fiも構築していくことになりますし、設置したものを急に減らすということはないのではないかと。ただ、もしかしたら、15年~20年くらい経つと話は違うかもしれませんけど。

――Sさん:そうですね。ですが、私自身は、今後も増え続けるのでは? と考えています。

Q.それはなぜでしょうか?

――Sさん:今回の「2020」に向けた市区町村の先進的な取り組みによって、東京都内のWi-Fiスポットは大幅に増えました。それによって、以前よりも多くの方に使っていただけるようになりました。それでも、Wi-Fiが無い施設もまだまだあります。以前よりも便利だな、と感じていただく一方で、さらにこんな場所にもあったらいいのに、という利用者からのお声も今後強まっていくでしょうし、その声を受けてもっと増やしていきたいと考える自治体もあると思っています。

Q.なるほど。ぜひそうあってほしいですね。

――Sさん:そのためには、我々の提案努力も必要なんですけどね。フリーWi-Fi利用者だけでなく、フリーWi-Fiサービスを運営しているオーナーや各自治体の方々に、もっともっと必要性を感じていただくということです。インターネット利用だけではなく、他にも、まだまだあるWi-Fiの有用性を感じてもらう活動をしていかないとと思っています。

東京のフリーWi-Fiは、いわば「Wi-Fi戦国時代」

Q.コロナ禍ということもあり、フリーWi-Fiというサービス自体の必要可否という視点もあると思うのですが。

――Sさん:そうですね。確かに無くなってしまうWi-Fiスポットもあるかもしれません。現在、都内には、すごく多くのSSIDがあり、いわば「Wi-Fi戦国時代」のような状況なので。ただ、多くの自治体のWi-Fiは「2020」などのひとつの事柄だけでなく、その先のことも見据えて設置いただいていますし、「うちだったらどこに行ってもフリーWi-Fiが使える。そんなを作りたいんだ!」とおっしゃっる自治体さんもいらっしゃいます。そんな熱い思いに、私たちは応えたいですし、これからも全力で品質の良いサービスをご提供していきたいと思っています。

――Aさん:利用者に、安心安全なWi-Fiはここですよ、というのを伝えることができる環境づくりが重要に思います。どなたでも安心してWi-Fiをご利用いただける環境になるのは、まだまだこれからではないかと思います。

関連リンク:フリーWi-Fiって危険じゃないの? ~フリーWi-Fiを安全に使うには
https://www.ntt-bp.net/column/blog/2020/11/wi-fiwi-fi-3.html

想いはひとつ「フリーWi-Fiをもっともっと活用してほしい!」

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Q.最後に、フリーWi-Fiのご利用者にメッセージをいただけますか?

――Uさん:「TOKYO FREE Wi-Fi」でいうと、もっと使っていただきたいなと思います。先日、TikTokで「#ワイコネ」で検索した動画を見ていたところ、「都会だったらいいかもね。田舎だったら、こんなにアクセスポイントないんだよな」というようなコメントを結構みたんですよ。ただ、それは都会や東京都に住む特権だと思います。率直な話、自治体の税金が使われているんですよね。なので、自分たちが払っている、住みよい街にしていくための資金を使って構築されたものは、無駄なくもっと有効活用してほしいと伝えたいですね。フリーWi-Fiは、そんなに怖いものではないので。

――Aさん:フリーWi-Fi利用者さんにお願いしたいのは、フリーWi-Fiは使えば使うほど良くなりますよ、ということです。

Q.それはどうしてですか?

――Aさん:Wi-Fi設置後、当社から自治体などのフリーWi-Fiオーナーに対して、「こんな風に、こんなに利用されていますよ」という報告を毎月出しているんです。みんなが使っているということがわかれば、予算を取って「じゃあ、あっちもWi-Fiつけようか」という話にもなるんです。利用者からの「役立ったよ」って声は、オーナーさまとしても嬉しいと思いますよ。逆にあまり使われていないとすると、「ここはもうやめようか」となってしまいます。でもそれは悲しいですし、ある日フリーWi-Fiが突然消されちゃうかもしれないので。

――Sさん:このコラムを読んでいただいている方は、フリーWi-Fiを使っていただいている方が多いのかなと思いますが、使っていただいていない方は「Wi-Fi怖い」という気持ちがどこかにあるのだと思います。そういった方でも安心してご利用いただけるように、また、逆にヘビーユーザーの方は、都内にはこれだけ多くの無料Wi-Fiがあるので、より使いやすくするという意味で、当社のアプリ(Japan Wi-Fi auto-connect )を活用してほしいですね。Wi-Fiをより安全に、そして便利に使うためのアプリなので。

フリーWi-Fi=サスティナブルなサービスをめざして

さて、前後編に分けて、じっくりご紹介してきた東京のフリーWi-Fi事情はいかがでしたか。 2020をきっかけに、ここ数年で急速に普及し、便利になった東京のフリーWi-Fi。

このフリーWi-Fiをイベントなどに対応するための一過性のものにするのではなく、サスティナブルなサービスとしていけるよう、Japan Wi-Fi auto-connectアプリなどで安全を保ちながら、これからもどんどん活用してくださいね。

また、コロナ禍においてフリーWi-Fi利用者が減少し、サービス自体の必要性などに悩まれている自治体もあるかもしれません。誰でも使えるフリーWi-Fiとして提供するだけでなく、自治体が提供しているあらゆるサービスにWi-Fiを利活用していく、といった段階に突入しているのかもしれませんね。

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