NHK学生ロボコン2023大成功の立役者は学生と構築したWi-Fi?! 最新お手軽Wi-Fiの構築体験に潜入してみた
2023年6月4日、NHK学生ロボコンが開催されました。今年も大盛り上がりでしたね。NTTBPも、協力企業として会場内のフリーWi-Fiサービス提供のお手伝いをしました。実は、2017年のABUロボコン以来、ずっと会場のフリーWi-Fi構築を任せてもらっているんです。
一方、今年初めての試みもありました。それは「学生ボランティアの方にWi-Fi構築を体験してもらった」ことです。リハーサルや検証環境ではありません、本番当日の準備を体験してもらおうというのです。本当にそんなことができるのでしょうか? これは、確かめてみなければ!
ということで、ド文系の編集部員チャボPが、潜入してご一緒させてもらうことにしました。構築経験はもちろん無いし、そもそも学生だったのモニャモニャ十年前だけど、しっかり体験してこようと思います!
10:15 朝礼からスタート!
まずはしっかり朝礼からスタートです。蒸し暑い日でしたが、社員も学生も分け隔てなく、長袖長ズボンです。整理整頓、安全確認ヨシ!
リーダーの挨拶の様子。大丈夫、怖い人じゃありませんよ。
もちろん、会場で準備しているのは私たちだけではありません。Wi-Fiだけでなく、いろいろなセッティングや搬入が同時に行われています。
10:30 ケーブルを会場にひいていく
設営開始すぐに、謎の小部屋に入っていく社員がいました。一体何をするつもりなのでしょう......後をついていってみると、何やら機械にテープを貼っているようですが......?
館内の通信回線の基盤などがある小部屋。普段はもちろん入ることができません
千田さん:この機械はONU(回線終端装置)。光ケーブルとメタルのケーブルの信号を変換するための装置だよ。ご家庭にもあるんじゃないかな。
長いケーブルの受渡しをしていますね。そう、この長いケーブルこそが、光回線そのものなんです。思ったより細いですね。今回のロボコンに設置するフリーWi-Fi用に、複数本を短期間契約しているものだそうです。このケーブルをアクセスポイントの設置場所まで這わせて繋ぎます。絡まないように、そして光ファイバーが折れないよう慎重に......。
積島リーダー:ケーブルを絡まないように巻く......最も基本的なことだけれど、一番大事なことです!!
このケーブル、油断すると......。
こんな風にこんがらがってしまうので、注意が必要です!
設置場所まで這わせました。次は、誰かがひっかかったりしないように、長さを調整しながら養生テープで貼っていきます。
チャボP:思ったよりも地味な作業だなぁ。
積島リーダー:誰かがひっかかったりすると、転倒の危険はもちろん、断線してしまう可能性だってある。一見地味だけど、ものすごく大事な作業なんですよ。
通信ケーブルにかぎらず、イベント会場の設営は「さまざまな種類の、大量のケーブルをいかにさばくか」の闘いでもあります。今回のロボコンでも、大型モニターや照明、マイクやスピーカー、関係者のパソコンのためのドラムコンセントなど会場のいたるところでケーブルが使われています。それらを這わせ、邪魔にならないように養生している姿は至るところで見られました。この苦労を目の当たりにすると、誰だって「極力無線化できるところは無線にしたい」と感じると思います。
今回は最低限のケーブルがあれば済む構成でしたので、少ない人数でも何とか対応できました。それでも、いくらかはこういった作業が必要になってしまいます。
11:30 メイン会場にアクセスポイントを設置しよう
光ファイバーケーブルがWi-Fi機器の設置位置まで来たところで、今度はアクセスポイントにつないでいきます。
チャボP:でっか! 思ってるのと違った! スピーカー......?
スピーカーのようにも見えますが、そうではありません。この装置の中に、複数台のアクセスポイントとルーターが入っているのです。これを、メイン会場の二か所に設置します。
今回は少しだけ高い場所に設置するので、落下防止のためラッシングベルトで固定します。
設置したら、PCとルーターをつないでネットワークの設定を行います。この作業は事前にやることはできないので、当日現場で作業するしかありません。
13:00 Wi-Fi講座に参加
NTTBPにはたくさんの技術者が在籍しています。けれど、ひとことに技術者といっても、実はいろいろなんです。工事に強い技術者もいれば、クラウドやネットワークに強い技術者もいます。
この日は、Wi-Fiの肝の部分である「無線」専門の技術者が、学生ボランティアの皆さんに講義をしました。
この場所、控室(ロッカールーム)ですが、これは運動部のミーティング風景ではありません。こちらのWi-Fi講座では、「ロボコンWi-Fi」の特徴や、Wi-Fiの基礎に関する解説を30分ほどの講義形式で行いました。終了後に、質疑応答の時間を設けたところ、ネットワークに興味のある学生さんからたくさんの質問が飛び出しました。
学生さん:作っているロボットのラズパイとコントローラー間をWi-Fiにしているのですが、うまくいきません。何か考えられる原因はありますか?
学生さん:DFSって実際どのくらい影響あるんですか?
学生さん:機器メーカーの選定基準ってありますか?arubaとかCiscoとかいろいろあると思うんですが。
チャボP:あーはいはいなるほど?(高度すぎてついていけない......!)
14:30 LANケーブルを作ってサブアリーナの設営を完成させよう
ロボコンの観客のみなさんは、他イベントと比べてもたくさんのトラフィックを使う傾向があります。今回はそこを見越して、1つのボックスに対して1つの光回線を用意したため、LANケーブル自体は短くてすみますが、せっかくなのでケーブル作りも体験してみることになりました。
学生さん:ここまできてLANケーブルを作ることになるとは!
学生さん:〇〇メーカーのやつと××メーカーのやつだと△△がちょっと違いますよね!
チャボP:あーはいはいたしかに!(まさか、作ったことないのって私だけ!?)
さすが学生さん、勉強しています。中には手馴れた経験者の姿も......。
長いケーブルを使う分の長さに切り分け、内部ケーブルの色をあわせてコネクタに差し込み「かしめ」で止めます。これで、好きな長さのLANケーブルが作ることができます。
チャボP:ケーブルの中にさらにカラフルなケーブルの子どもが入ってる! 細く見えるけど、かたくて切れないし、順番通りにもささらない......思ったより大変!
苦戦する素人の私を尻目に、どんどん完成させていく学生のみなさん。学生ボランティアが作ってくれたものの中には、今回のイベントで実際に使われたものもあります。
さて、LANケーブル作りが一区切りしたところで、一同が気になっている......、そうです、あれです。
外から見るとスピーカーにしか見えないあの箱の中身はどうなっているのでしょう?
現場のみなさんにだけ、中を見てもらいました。メイン会場のボックスは見ることができませんでしたが、サブアリーナのボックスは、現場にいるみなさんにだけ、ということで中をみることができました。
設置ができたので会場内の電波を計測してみましょう。
測定には特別な専用機器を用いる場合もありますが、今回の場合はスマートフォンアプリでも十分対応可能です。
スループット(通信速度)も計測します。この時点では爆速ですが、残念ながらこれは利用者のいない設営日のみです。当日は多くの人がつなぐことになるので、同じパフォーマンスとはならないでしょう。
おわりに
最後に参加者のみなさんに感謝状が送られました。学生ボランティアの皆さんの感想はいかがだってでしょうか?
学生さん:楽しかったです!雰囲気がいい職場なのが伝わってきました!
真っ先にくれたコメントは雰囲気の良さでした。これはきっと喜んでいいとこですよね! 他にも、こんな感想を伝えてくれています。
学生さん:Wi-FiやNWを勉強する機会ってあまりないので、すごく勉強になった!
学生さん:初めて見る、自作っぽいアクセスポイントなどを見ることができて楽しかった!
学生さん:普段見ることのできない設営を見ることができて、ロボコン当日が楽しみになった!
ネットワークに興味があっても、なかなか実務経験者と交流する機会はないとのことで、とても楽しんでもらえたように思います。
今回は「一夜城Wi-Fi Type C(ボックスタイプ)」という構築方法を採用したことで、構築の時間や工数を短縮できたため、このような取り組みが実現できました。
当日の模様や構築の詳細については、以下でもご紹介しています。
NHK学生ロボコン2023 : 導入事例 : NTTBP|NTTブロードバンドプラットフォーム
ニュースリリース:NHK学生ロボコン2023にて、公式フリーWi-Fi環境構築を学生ボランティアのみなさんと一緒に実施しました
今後もNTTBPではこういった、未来の技術者さんたちとの交流などの取り組みを広げていきたいと考えています。
イベントWi-Fiの設置でお困りの方はもちろん、学生の方と交流を深めたいWi-Fiオーナーの皆様はぜひお問い合わせくださいね。
なお、大会の模様は、7月17日(月・祝)午前10時5分より、NHK総合テレビにて放送予定です。白熱した名バトルの数々は必見ですよ。お楽しみに!